今回はアスリートフードアドバイザーの資格を保有している村上コーチ監修のアスリートの食事についてのコラムになります! アスリートの食事についての知識に加え、競技に応じたアスリートご飯などを紹介していきます。
自分自身がアスリートの方、またアスリートの親御さまはぜひ参考にできるところあれば積極的に取り入れてみてください!
皆さんがテレビで見るスポーツ選手はいわゆる結果を出し、活躍されているアスリートの方々です。 どれだけ第一線で活躍されているアスリート、才能のあるアスリートであっても練習をするだけでは結果を出し続ける事はできません。厳しい練習をし、本番に力を発揮できる身体を作ること。
その為には、栄養素をバランスよく摂る事がとても重要になってきます。
こんな悩みがある方はまず正しい食事のとり方を学び、毎日の食事の質を見直してみましょう!
糖質(炭水化物)・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの5つに分けられ、これを5大栄養素と呼びます。
炭水化物は私たち人間が消化できる【糖質】と消化できない【食物繊維】から構成され、糖質は体のエネルギー源となります。
肉や魚介、卵などに豊富に含まれるたんぱく質は、筋肉や臓器などの体の構成成分で、肉に特に含まれる脂質は糖質と並ぶエネルギー源になります。 ビタミン・ミネラルはエネルギーにはなりませんが、体の機能調整に必要な栄養素です。
①エネルギー源になる:生命維持や活動のためのエネルギー源になります。
②骨や筋肉などの体の組織を作る:筋肉や血液、骨など強い体の組織を作る成分です。
③体の調子を整える:免疫力を高めたり、代謝既往を活性化させたりする働きがあります。
成長期の選手に対しての食事について悩まれている親御様も多いのではないでしょうか。この時期の選手にとって重要なのは健康的な食生活を送ることです。規則正しい食事をとることを第一に考えてください。
成長期のアスリートは、練習はもちろん大切ですが栄養摂取も同じように重要になってきます。筋肉や骨格など、体の基礎ができている事が運動能力の大前提です。毎日の食事が試合に勝てる体を作っていきます。
次に心がけたい成長期の食事法を4つ紹介します。
身長、体重ともに大きな変化の見られる成長期には、体の健康を保つことが第一条件です。栄養素をバランス良く含む食事をとりましょう!
寝る前に牛乳をコップ一杯飲む習慣をつけましょう!成長ホルモンは睡眠中に分泌されるので身長を伸ばしたい子どもに効果的です。
鉄分は意識して摂取しないと不足してしまいがちです。持久力の強化には欠かせない栄養素なので、成長期からしっかり摂取しましょう。
朝食をとらないと、朝は血糖値や体温が十分に上がらないため、頭の働きが鈍くなったり疲労感が取れづらくなったりことがあるのでNGです!
行っているスポーツや種目の特性によって食事の摂り方も変わってきます。
競技力を高める食事法も同様で、今回は【筋力系】【瞬発系】【持久系】の3つのタイプに分けてそれぞれ効果的な食事の摂り方を紹介していきます!
また自分の競技力タイプによって食事の摂り方や摂取した方が良いものが変わる場合があるので自分の競技に合ったタイプの解説を読んでぜひ参考にしてみてください!
重要なのは瞬発系と筋力系の食事法です。スタート時の爆発力や短い時間を全力で走り切る瞬発力や筋力が大切な種目に関係します。
跳躍競技において、助走で加速するときやジャンプをするときに重要な瞬発力ですが、踏切時の瞬間的に大きな負荷に耐える筋力も重要です。
■食事の摂り方 短距離・ハードル競技も跳躍競技も共通して、瞬発力系の食事法が基本です。筋トレの時期には、筋力系のメニューをとると効果が高まります。
重要なのは、持久力です。運動量が多く筋肉の消耗は激しいです。また、持久系といっても筋力トレーニングを軽視してはいけないので、体づくりという意味から筋力系も大事になってきます。
■食事の摂り方 基本的に持久系のメニューで走り込みの効果を高めます。 筋力トレーニングを行う時は、筋力系のメニューも取り入れてたんぱく質を補給しましょう!
とにかく筋力が重要で、筋肉を大きく鍛える必要があります。投げる瞬間には瞬発力も関わってきますが、筋力がないと重いものを遠くまで飛ばせないので、トレーニングは筋力アップが中心になります。
■食事の摂り方 基本は筋力系のメニューによって効果的に筋力を高めます。投げる動作など、技術的な練習を行う時は瞬発力系のメニューを取り入れると効果的です。
筋量を増やす事が競技力アップにつながる筋力系競技。食事で重要な栄養素は筋肉の材料となるたんぱく質です。
✐ポイント
太い筋肉を作り、筋力を向上させる!筋力は筋肉が太くなるほど強くなり、一瞬に発揮できる力も大きくなってきます。
タンパク質を効率よく摂取しよう!
朝・昼・夜・間食にもたんぱく質を取り入れ、摂取回数を増やすのが◎
単品ではなくたんぱく質食品を組み合わせるのが◎
例えば下記の①~③の材料を組み合わせたメニューを選びましょう
(例:麻婆豆腐→豚ひき肉+豆腐)
たんぱく質を摂取するときは一緒にビタミンB6・ビタミンCを摂取すると吸収力が高まります!
▶ビタミンB6:たんぱく質が筋肉へと合成されるのを助ける栄養素
【豊富に含まれる食品】
▶ビタミンC:関節の腱やじん帯、軟骨などを作るコラーゲンの材料にもなる栄養素
【豊富に含まれる食品】
トレーニングや食事と同じぐらい睡眠も重要になってきます。
トレーニングで筋繊維が傷つき、食事で筋肉の材料を補給し、睡眠で成長ホルモンを分泌させることで筋肉が以前より大きく修復されより激しいトレーニングを行えるようになります。
少し濃いめの味付けで塩分をとって、汗で失ったナトリウムを補給
【材料2人分】
うどん1.5玉 / 豚ひき肉200g / 長ネギ40g / サラダ油適量 /
A(だし汁4カップ・醤油大さじ4・みりん大さじ2)
【作り方】
鶏肉も卵もたんぱく質が豊富で鶏肉のビタミンB6がたんぱく質の吸収を助けます
【材料2人分】
ごはん280g / 鶏むね肉160g / 玉ねぎ100g / 卵2つ / サラダ油適量 /
塩コショウ少々 / 醤油大さじ2 / 和風だし小さじ2
【作り方】
※刻み葱や三つ葉を上にのせるのもおすすめです
厚揚げは植物性たんぱく質で豚肉は動物性たんぱく質。1品から2種類のたんぱく質を摂ることができます
【材料2人分】
厚揚げ140g / 豚ロース薄切り肉240g / ほうれん草100g / サラダ油適量 /
塩コショウ少々
【作り方】
火が通ったらほうれん草を加えて炒め、塩コショウで味を調えたら完成★
魚介類はたんぱく質が豊富で、エビ・イカに含まれるタウリンには疲労回復効果があります
【材料2人分】
シーフードミックス(冷凍)400g / にんじん40g / たけのこ20g / いんげん40g /
ヤングコーン20g / サラダ油適量 / 中華だし小さじ2 / 塩コショウ少々 /
いりごま大さじ2
【作り方】
わかめには食物繊維とミネラルが豊富に含まれています
【材料2人分】
枝豆200g / わかめ50g / 塩少々
【作り方】
ヨーグルトにはたんぱく質が、バナナにはたんぱく質の吸収を高めるビタミンB6が豊富
間食にもおすすめです
【材料2人分】
ヨーグルト200g / バナナ1本 / ハチミツ20g
【作り方】
長時間のトレーニングや試合を乗り切らないといけない持久力系競技ですが、重要な栄養素はエネルギー源となる糖質です。
✐ポイント ★長時間連続して動ける体を作る 持久力競技では長時間続けて運動を行うトレーニングが必要です
★グリコーゲンを毎日補給 長時間運動する持久力系競技はエネルギーの消費が多いのが特徴です。運動をするときにエネルギー源となるのは主にグリコーゲンなので、日ごろから意識して摂取することが必要です。
★糖質でエネルギーをチャージ 糖質すなわちご飯・パン・麺などの炭水化物がエネルギーになります。エネルギー消費量が多い持久力系競技は気を付けないと糖質不足になるので3食以外にも間食や補食でも糖質をとるなどして、摂取量をあげましょう。
朝食を抜くとエネルギー不足になり、集中力が落ち怪我を招きやすいので注意。
トレーニング後30分以内に糖質を摂取するとグリコーゲンの回復が早くなり、疲労回復の効果も高まります。
グリコーゲンは糖質が消化されたものなので、よく噛んで食事することが大切。消化、分解が促進され、効率よくエネルギーを得られます。
糖質とビタミンB1とクエン酸を一緒に摂取することで、エネルギーをより効率よく生み出すことができます。
ビタミンB1は糖質がエネルギーに分解されるのを助ける働きがあります。クエン酸は糖質の吸収を早める効果があります。
【ビタミンB1を多く含む食品】
【クエン酸を多く含む食品】
糖質補給に加え、特に注意したいのが鉄分不足による貧血やスタミナ不足です。鉄は非常に吸収されにくいので、鉄分を多く含む食品を意識して摂ることがおすすめ。
【鉄分が多く含まれる食品】
呼吸で取り込んだ酸素が活性化したものを活性酸素といい、激しいスポーツをするとこの活性酸素が多く発生し、生活習慣病を引き起こす要因になっています。防ぐ方法として、抗酸化作用の強い色素を持つトマトなどの野菜を摂取することが効果的と言われています。
特に疲れた日はこれらの野菜を食べるようにしましょう!
繰り返しになりますが、持久力系タイプの選手は糖質をしっかり摂取することが重要です。
主食以外にも主菜や副菜、汁物でもじゃがいもなどのいも類を使うことでさらに糖質を摂取する事が大事です。
100%のオレンジジュースをプラスして果糖からも糖質を摂取することもできます。糖質の吸収を助けるビタミンB1・クエン酸や不足しがちな鉄分を補えるメニューを積極的に作ってみましょう!
梅に含まれるクエン酸には糖質の吸収を助ける働きがあります。また、梅しらすを一緒に食べることでしらすに含まれるカルシウムの吸収率が高まります。
【材料2人分】
ごはん560g / 梅干し6個 / しらす60g
【作り方】
もち米は白米よりも早くエネルギーに変わります。身体がだるいなと感じた時のエネルギー補給におすすめです。
【材料2人分】
もち米100g / 粒あん(市販)100g / 塩少々
【作り方】
スポーツ選手のスタミナ切れは鉄分不足が原因の場合も!レバーで補いましょう!
【材料2人分】
豚レバー150g / にら100g / にんじん60g / もやし40g / 牛乳適量 / 片栗粉少々 /
A(塩コショウ少々 / にんにく(すりおろし)2片分 / 酒大さじ1) / サラダ油適量 /
B(しょうゆ大さじ2 / オイスターソース大さじ2 / 酒大さじ1)
【作り方】
抗酸化作用によって体の酸化を防ぎます。疲労回復にも効果があります。
【材料2人分】
サバ200g / 大根200g / 塩コショウ少々 / 片栗粉大さじ2 / 揚げ油適量 /
めんつゆ大さじ2
【作り方】
ごまとピーナッツには、抗酸化作用の高いビタミンEがたくさん入っています
【材料2人分】
いんげん100g /A(ピーナッツ大さじ4 / いりごま大さじ2 / 砂糖少々 / しょうゆ小さじ1)
【作り方】
のりはミネラルたっぷりの健康食材で、しかもカロリーゼロだから体重が気になる選手も安心です。
【材料2人分】
ほうれん草200g / 刻みのり2g / しょうゆ小さじ2
【作り方】
高い反射神経が必要な瞬発力系はスピードだけでなく、筋力・持久系をトータルで鍛えることが必要です。
食事ではパワー源やエネルギー源だけでなく、しなやかな筋肉の動きを作るミネラルが重要になってきます。
✐ポイント
★バランスのよい競技力が求められる
キレのよい動きが重要な瞬発力系競技は筋肉の収縮を促す食事をとることがポイントです。
たんぱく質と糖質の両方をバランスよく摂取することが求められてきます。
★しなやかな筋肉を作るミネラル摂取が重要
筋肉のコンディションを保つミネラルはたんぱく質と糖質と同じぐらい大事です。
重要なミネラルの1つがカルシウムで、骨を作る働きだけでなく神経系伝達や筋肉の収縮に使用されるという役割があります。カルシウムが不足すると足が攣ってしまったり、痙攣しやすくなってしまいます。
カルシウムは吸収されにくい栄養素ですので、吸収率の高いヨーグルトや牛乳などの乳製品をこまめにとることが大切です。料理にごまや干しエビをプラスすることも簡単にできる工夫です。
インスタント食品や炭酸飲料に含まれるリンはカルシウムの吸収を妨げるので×
【カルシウムを豊富に含む食品】
★キレの良い動きを作るマグネシウム
カルシウムと同じように瞬発系競技にはマグネシウムも摂取しましょう!
マグネシウムには体のコンディションを整える働きあり、筋肉収縮にも関係していて、不足してしまうと体がなんとなく重かったり、筋肉痛や痙攣を起こしやすくなったりします。
マグネシウムは海藻や玄米、大豆製品に多く含まれ、ごはんを玄米にしたりノンカロリーのわかめを汁物に入れるのがおすすめです。
マグネシウムが多く含まれる硬水のミネラルウォーターから水分補給するのがおすすめです。
ごまにはマグネシウムが含まれているので、ごはんやおかずにごまを振りかけることでマグネシウムを摂取する事ができます。
トレーニングをすると筋肉に疲労物質がたまるので、これを素早く回復させるのに有効なのはアミノ酸です。
特にバリン・ロイシン・イソロイシンという3種類のアミノ酸(BCAA)を含む食品には疲れを取り、筋肉を修復してくれる効果があります。
【アミノ酸を豊富に含む食品】
鉄分、ビタミンC、カルシウム、糖質を摂取できる主食になります。
【材料2人分】
ごばん300g / 豚もも薄切り肉100g / ピーマン50g / パプリカ(赤・黄)各50g /
セロリ20g / にんにく1片 / サラダ油適量 / 塩コショウ少々 / 中華だし小さじ2 /
桜エビ10g / いりごま(白)大さじ2
【作り方】
スープタイプは普通のものより満足感をアップ。体脂肪が気になる人におすすめ
【材料2人分】
スパゲッティ100g / ほうれん草100g / 枝豆40g / 粒コーン40g / 牛乳2カップ /
水1カップ / コンソメだし小さじ2 / 塩コショウ少々
【作り方】
豆腐ときのこの組み合わせでカルシウムの吸収率アップ!カルシウム、マグネシウムの含まれるじゃこは常備しておきたい食材
【材料2人分】
豆腐300g / 豚もも薄切り肉200g / しいたけ4枚 / えのき100g / サラダ油適量 /
ポン酢適量 / ちりめんじゃこ大さじ2
【作り方】
小魚は骨ごと食べられるので、カルシウムをたっぷりとることができます。
【材料2人分】
ししゃも大3尾 / 塩コショウ少々 / 小麦粉、溶き卵、パン粉適量 / 揚げ油適量 /
トマト50g / レモン適宜
【作り方】
カルシウムがたっぷり含まれた高野豆腐は成長期におすすめの食材です
【材料2人分】
高野豆腐30g / じゃがいも200g / グリンピース40g / めんつゆ大さじ3 / 水2カップ
【作り方】
カロリーはほとんどないメニューなので、体脂肪が気になる方におすすめです。
【材料2人分】
もずく100g / みょうが200g / トマト100g / すりごま小さじ2
【作り方】
みなさん最後まで読んでいただきありがとうございました。
これを読んで食事の大切さをわかっていただけたらとても嬉しいです。
トレーニングを頑張るだけでなく、食事でも強くなれるアスリートになりましょう!
大阪府出身
青山学院大学卒業後も選手として活動中
U18世界選手権・U20アジア選手権・U20世界選手権日本代表
高校時に高校総体で個人種目準優勝、4×400mRで優勝し、全国大会レベルの大会で複数回入賞経験あり。
大学在学中に怪我が多く、食事の面から改善できないかと考えアスリートフードアドバイザーの資格を取得。
100m : 12″12 /100mH : 13″80 / 400mH : 58″87